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「台湾モデル」に何を学ぶ – 西日本新聞

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 「わずか1カ月半で今回の流行をほぼ収束させることができた。まさに『日本モデル』の力を示した」

 5月25日、新型コロナウイルス対策を自賛する安倍晋三首相の発言である。

 それから3カ月余。連日数百人もの感染者を出し続け、経済への影響も深刻化する今、この発言を振り返ればむなしさを覚える。

 一方、世界でも際立ってコロナ感染の抑え込みに成功しているのが台湾である。現時点で「○○モデル」と名乗る資格があるのは間違いなく台湾だろう。

 「なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか」(扶桑社新書)という本が7月に出版された。著者の野嶋剛さんは元全国紙の台北支局長。台湾や香港を専門とするジャーナリストだ。

   ◇    ◇

 野嶋さんは本の後書きに「現在進行形の話を本にするのはリスクがある」と記した。確かに、出版後に台湾で感染者が急増しようものなら「なぜ防げたか」のテーマ自体が破綻する。

 しかしその懸念は取り越し苦労だった。本を書き上げた5月31日、台湾の累計感染者数は442人、死者はわずか7人。それが3カ月余の9月11日、累計感染者は496人で、死者は何と7人のまま。ほぼ完璧に抑え込み続けている。

 野嶋さんに聞いた。

 -台湾の成功の理由を端的に言えば?

 「まず圧倒的な初動の速さ。日本が大みそか気分だった昨年12月31日、台湾の衛生当局が中国・武漢での異変の確証をつかみ、市民に注意を喚起して武漢-台北便の特別検疫を始めた。つまりその日のうちに政府と社会を挙げたコロナ対策をスタートさせた」

 「次に『検疫と隔離』という基本的な対策に愚直に取り組んだこと。私が講演などでそう指摘すると当たり前すぎてがっかりされるが、野球で言えばゴロを捕るときちゃんと腰を落とすのが大事だ。この基本動作が機能したため、台湾では渡航からの帰還者の感染は見つかるが、市中の爆発的感染はほぼ起きていない」

   ◇    ◇

 -日本ではすでに感染ルートがはっきりしない市中感染が広がっている。

 「市中感染に至る前に抑え込んだ台湾と違い、日本はもう『台湾モデル』を適用できる段階を通り越している感がある。ただ日本が『台湾モデル』を参考にするとすれば、『まず完全に抑え込み、経済はそれから』という姿勢ではないか。日本政府が感染防止と経済対策を同時にやろうとしているのには違和感がある」

 -日台の政治家について感じることは。

 「台湾の政治家がほとんど言わないのが『専門家の皆さまのご意見を伺って』というせりふ。もちろん台湾でも専門家の意見は聞くが、対策を決定するのは自分たち政治家で、失敗すれば責任を取るのも自分たち、という緊張感がある。日本の政治家の『専門家のご意見を』には、どこか責任転嫁のにおいがする」

   ◇    ◇

 台湾は「民主主義の価値観と感染抑え込みを両立させた実例」として国際的評価を格段に高めた。日本はどうか。うまくいってない欧米諸国と比べて「日本モデル」「民度が高い」とか自賛する政治家の振る舞いを見れば、かえってそこに日本の衰退を感じてしまうから皮肉である。

 (特別論説委員・永田健)

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