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ディール巧者、トランプ大統領 | バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明

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 トランプ大統領は就任以来1年数か月が経つが、その間、巻き起こした旋風は「大統領の行動規範」からは想定外の行動であったことが大きい。政治家ではない大統領とは調理学校を出ていない割烹職人とも言えるが、逆に常識を破るその発想と行動力がその支持基盤をより頑強なものにしている。


 トランプ大統領の写真や動画を見ると常に何か行動し、反応し、それが表情に溢れ出ている。「激情家」なのだろう。ある意味、劇画的なその大げさな立ち振る舞いは習近平国家主席と足して二で割ればちょうどよいぐらいになるのだろうか?

 トランプ大統領を一言でいうならば私はビジネスマンと申し上げる。それも非常にエゴイスティックで貪欲で自己利益を最大にするようなビジネスマンだ。それこそ、自分の隣に同業他社が現れたらあらゆる手段でそれをぶっ潰すタイプと申し上げよう。

 私は大統領が就任以来、この第一印象を一度たりとも変えたことはない。つまり、私のように北米で長年事業をしていてアメリカでも仕事をしてきた人間からすればそこまで変わっているとも思えず、表と裏の顔がないタイプである。言い換えれば比較的分かりやすく、分析のしやすい大統領ということになる。

 私は数年前の自身のブログで世界はブロック経済化するだろうと述べている。ブロック経済とは世界がいくつかの経済圏に分かれることを意味する。当時、G20の後押しもあり、グローバル化で地球規模の一つの経済圏を作っていたので当然ながらこの意見は異端視された。だが、世の中、どの国も仲良く手をつなぐというのは理想論で誰かが我慢と無理を重ねているのだから長続きしないと指摘した。大国もあり、経済先進国もあれば小国や発展途上にも至らない国もある。それらが同じ土俵に上がること自体が不自然なのだ。

 グローバル化とは「資本力に基く先進国経営の押し付け」と言ったら言い過ぎだろうが、それに近い要素はある。先進国は金融緩和を進め、資金調達がしやすくなれば儲かりそうな国に直接、間接を問わず、投資をする。日本を例にとれば東南アジア諸国には隅々まで日本のマネーが影響し、貪欲な投資家はよりディープなところを日夜懸命に開拓している。

 が、トランプ大統領が打ち出したのは「浮ついて自分の門戸を開けるより自国をもっと強くすべし」であった。それがトランプ大統領の税制改革の一環であり、自国海外事業会社が海外に滞留させている資金をアメリカに大還流させるプランである。極端な話、兵を引かせて自国にもっと強固な城壁を作れというのである。

 次いで中国などに不当だと難癖をつけ、関税などの障壁を作り海外の商品が安くアメリカに流入するのを防ぐことを目論んだ。完全なる自国中心主義である。これは先述のブロック経済よりももっと狭量な鎖国経済と称してもよいような発想である。

 日本が江戸時代、鎖国していた際、一部の港で一部の国家とだけ取引をしたようにトランプ大統領はディールによって自国とウィンウィンの関係を結べる同志とは取引をすることとした。韓国はその代表例であり、FTA(二国間自由貿易協定)の見直し交渉があっという間に完了した。それはトランプ大統領のディールの一方的勝利だったからである。それゆえに鉄鋼やアルミで韓国はその免除国となれたといってよい。

 では日本はなぜ、アメリカとの交渉が旨く行かないのか?私のブログでこのようなことを書くと山のようにコメントを頂戴する。その中で面白いと思うのは「日米関係は絶対的絆で結ばれている」という前提に立つ意見が圧倒していることだ。よって、日米交渉がうまくいかない訳がないという主張が目立つことだ。私はこれがそもそも変わったと思っている。

 トランプ大統領が就任する前、日本のメディアは、トランプ大統領は若かりし頃、日本を敵対視していたとか、日本とのオフィシャルなルートがないとか、感情的しこりがあるだろうなどと日米関係を不安視する記事がゴロゴロしていた。ところが安倍首相が電撃的に大統領就任前にトランプタワーで会談をし、その後もゴルフ外交など蜜月な関係を見せたことで「なーんだ、心配することないじゃないか」と安堵してしまった。

 これが間違いではないかと私は思っている。トランプ大統領からしても日本とルートがなかったので安倍首相が自ら胸襟を開いてくれたことは嬉しく思っただけだとしたらどうだろうか?言い換えれば安倍首相=日本ではないとすればどうなるのか、である。
 日本は森友問題第二ラウンドで安倍政権の支持率を大きく下げた。イラク日報問題も出てきた。三選困難、という声もじわじわと聞こえてくる。とすればトランプ大統領からすれば安倍首相とディールするのは一時お預けにした方が得策にならないだろうか?

 私は大統領をビジネスマンだと申し上げた。もしも取引先の社長が不祥事の最中、改選時期を迎えるとすればその社長と取引するだろうか?通常はその後、その会社を牛耳る人間を見定めるはずだ。今、日本はその点は宙ぶらりんの状態にあるとみている。

 2017年、安倍首相はG7でリーダー的存在だった。その在任期間故である。ところが現時点で中国、ロシア、韓国などが盤石の態勢を整え、トランプ政権も巷でいうほど不安定感はない。とすれば18年は先進国の中における日本の立場は大きく変わった点だけは指摘しておきたい。そしてトランプ大統領はそれを動物的嗅覚のごとく鋭く感じ取っている。私はとてもしたたかな大統領だと思っている。それゆえ、日本が蚊帳の外にならなければよいと思っている。


岡本裕明(おかもとひろあき)


1961年東京生まれ。青山学院大学卒業後、青木建設に入社。開発本部、秘書室などを経て1992年同社のバンクーバー大規模住宅開発事業に従事。その後、現地法人社長を経て同社のバンクーバーの不動産事業を買収、開発事業を完成させた。現在同地にてマリーナ事業、商業不動産事業、駐車場運営事業などの他、日本法人を通じて東京で住宅事業を展開するなど多角的な経営を行っている。「外から見る日本、見られる日本人」の人気ブロガーとしても広く知れ渡っている。

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