Home モデル デジタル時代の P2P 販売モデル、美容ブランドが再構築:「機は熟した」

デジタル時代の P2P 販売モデル、美容ブランドが再構築:「機は熟した」

36 second read
0
26

美容業界はもはや、時代遅れの化粧品会社の王国ではない。新しいP2P(ピア・ツー・ピア:個人間)の販売モデルの盛況が、美容業界の復活を証明している。

ビューティーカウンター(Beautycounter)やエバースキン(Ever Skin)、ジュアラスキンケア(Juara Skincare)、ロダン&フィールズ(Rodan & Fields)などのブランドが、デジタルに精通した消費者に向けて、P2Pの販売モデルを再構築する一方で、グロッシアー(Glossier)のようなブランドは近年、消費者への直販戦略へと方向転換してきた。

コティ(Coty)でさえも、利益の分け前にあずかるべく、昨年、6億ドル(約650億円)を投じて、化粧品会社ユニーク(Younique)の60%の株式を取得した。ユニークは、8万以上といわれるコンサルタントを擁し、ソーシャル販売を熱心に行っている。

P2P販売戦略を採る新興美容ブランドは、メアリーケイ(Mary Kay)やエイボン(Avon)のような草分け的企業が凋落するなか、このビジネスモデルを新たに蘇らせてきた。いち早くこのモデルを採用したメアリーケイとエイボンは、いずれもまだ存在しているが、現代の消費者とつながろうと何年も苦戦している。エイボンのコンサルタントコミュニティは、2012年から縮小し続け、同社の時価総額は13億ドル(約1400億ドル)へと減少している。一方、メアリーケイは、その搾取的とも取れるビジネスモデルについてメディアから批判を受けていた

その後、新興ブランドが栄えてくるようになった。これは、ソーシャルメディアに販売コミュニティを築き、リーチを伸ばすためのモデルの活用や現代の消費者が惹きつけられる要素にスポットライトを当て、商品の効果の強調とビジュアル面の強化を実施したおかげだ。

完璧なタイミング

「美容業界においてブランド各社が実施してきた施策の多くは、これまで時代に追いついていなかったが、いまはFacebookやインスタグラムのようなさまざまなソーシャルプラットフォームを利用し、事業をデジタル化することで実行可能だ」と、エバースキンのゼネラルマネージャー、アニー・ハジニアン氏は語る。エバースキンは、2003年にジェシカ・ヘレン氏が立ち上げたソーシャル販売専門のアクセサリーブランド、ステラ&ドット(Stella & Dot)から派生した美容ブランドだ。

ヘレン氏は、このブランドを黒字化するまでに成長させた。売上高は3億ドル(約330億円)を超える。5万人以上のスタイリストに同額の手数料を支払い、スタイリストは売上高の35%を受け取ることができていた報じられている。3年前に同氏は、美容業界に現在のような可能性を感じていた。

「美容業界には、現代的なブランドが多くなかった」。ハジニアン氏はそう述べ、それに加えて副業人気が高まり、機は熟したと感じたと付け加えた。

「9時から5時まで働く代わりに、ウーバー(Uber)やリフト(Lyft)のような企業が働き口として当てにされている現代においては、人々、それも特に女性にとって、こういった働き方は信じられないほど素晴らしいモデルになりうる」。ハジニアン氏はそう語り、子育てしつつも働き続けたいという、現代に生きる女性の潜在的なニーズに着想を得て、それがエバースキンの「スペシャリスト」の共通テーマになっていると語った。

実際、ソフトウェア会社インテューイット(Intuit)が昨年実施した調査によると、ギグエコノミーの規模は、米国の労働人口の約34%を占め、2020年までに43%に達する見込みだという。もちろんテクノロジーなしでは不可能な話だ。

ECに新たなチャンス

エバースキンに関していうと、いまでは数千人いるコンサルタントに対して、ステラ&ドット流の特別な対面イベントのみならず、オンラインでも販売する機会も提供。また、各コンサルタントに個人用のeコマースサイトを用意し、インスタグラムやFacebookで商品を宣伝するためのデジタルマーケティングガイダンスを提供している。

ビューティーカウンターやロダン&フィールズ、ユニークは、同様の二元的モデルを用いているが、バーチャル販売会を催してふたつの世界の橋渡しを行う取り組みも実施している。

昨年スタートしたグロッシアーのレッププログラムも、同社のウェブサイト上に、各自のお気に入りの商品や紹介動画を掲載した独自のランディングページがコンサルタントに与えられる点では似ている。だがブランドのルーツを踏まえて、オンラインでしか宣伝は行われていない。現在は、500人前後のコンサルタントを擁している。

このモデルの限界

なお、誰もがグロッシアーによるレッププログラムの開始に満足したわけではない。参加したあるコンサルタントは、クールな少女というグロッシアーのイメージに、このプログラムが悪影響を及ぼしているかもしれないと感じていると、昨年7月に美容系メディアのRacked(ラックト)に語っている。「多くのコンサルタントがブランドの路線から外れていて、ひどいメークをしているし、グロッシアーの製品の使い方も知らない」。

コミュニティ兼プラットフォームであるReddit(レディット)のスレッドには、同様の不満が多く書き込まれた。

「グロッシアーのプログラム立ち上げにとって、それは重要ではなかったからだと思う。グロッシアーはソーシャルメディアから生まれ、そのあと、ひとつの販売システムとしてこのプログラムを組み込んだ。このシステムは、ブランドからグロッシアーを直接体験するのに慣れた者にとっては、不快かもしれない」と、米デジタル調査会社L2の顧客戦略担当アソシエイトディレクター、チェルシー・グロス氏は指摘する。結局のところ、レッププログラムのコンサルタントは別の形態のインフルエンサーにすぎない、と同氏はいう。

P2P販売モデルは、以前に懐疑的に見られたことがあり、場合によっては、コンサルタントを食い物にするマルチ商法として例えられている。だが、美容コンサルタントでオープニングセレモニー(Opening Ceremony)の元美容専門バイヤーであるジョイス・リー氏は、いまはそれほど問題にはならないと考えている。

「美容市場では、これまでになく信頼と透明性が重要視されている」と、リー氏はいう。

このようなことから、こうした新規参入組はみな、販売手数料についてウェブサイトでの透明性維持を心がけ、ほとんどは販売手数料を平均20~35%に設定している。ビューティーカウンターやエバースキンのように安全に商品を売買し、成分に関する完全なリストと、商品の製造方法に関するFAQを公開しているところもある。

ソーシャル(メディア)効果

だが、この分野ではオンラインコミュニティとエンドースメント(推薦)がもっとも大きな影響力を持ってきたと、リー氏は語る。ソーシャルプラットフォームは、より素早く結びつきを促進するうえに、本物であるというメッセージをこうした企業が強調できるようにする。

「確かに、こうしたレッププログラムの参加者は、参加することで金を受け取っているが、たいていは、自分が宣伝している商品が大好きな顧客だ」と、リー氏は語る。

グロス氏も同じ意見だ。「顧客に提示する多くの事例は、ソーシャルメディアの効果に焦点を当てたものだ。彼らはコンサルタントを、自社で育てたインフルエンサーとして活用し、そのコンテンツをマーケティング目的で利用している」。

たとえば、ロダン&フィールズはしばしば、特定商品の宣伝のためにコンサルタントが撮影したビフォーアフター画像を投稿。調査会社のエルツー(L2 Inc)が実施した調査によると、2017年には、こうした画像がブランドのソーシャルメディア投稿数に占める割合は1%だったが、エンゲージメントに関しては、全体の13%を占め原動力となっていた。エバースキンも、自社サイトで同じことを行っている。

チャネル拡大が課題

現在の時価総額は、ロダン&フィールズとユニークが10億ドル(約1100億円)で、それに続くビューティーカウンターが2億2500万ドル(約245億円)と報じられており、ジュアラスキンケアとエバースキンは、数百万ドル規模と推定されている。

これらの企業が成長し続けるには、コンサルタントの影響力以外に目を向ける必要があるかもしれない。

これまでのモデルは、売り上げアップをP2P販売だけに頼っていたが、現在のブランドは、それが成功の妨げになることに気づきつつある。「コンサルタントを使った場合、最終的に消費者が求めていない軋轢を生み出すこともある。誰もがコンサルタントとつながりを持ちたいわけではない」と、グロス氏はいう。

そのため、こうしたブランドは、最初から消費者に直接商品を売り込もうとしている。このグループで唯一の例外はロダン&フィールズで、この数カ月間にようやくオンライン直販を開始したが、扱う商品は200ドル(約2万1000円)程度のパッケージに限定している。

こうした、コンサルタントのコミュニティ以外における顧客の獲得が不可欠なのは、エバースキンのハジニアン氏が言うように、一種の保険だからだ。「皆がコンサルタントでありたいわけではないが、(少しでも見込みのある)顧客を逃すわけにはいかない」と同氏は語った。

Jessica Schiffer(原文 / 訳:ガリレオ)

Let’s block ads! (Why?)


Source link

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Check Also

マツダ「アテンザ」、次期モデルはFRか

 旗艦モデル「 … …