Home モデル 思春期特有の心の動きを繊細かつ鮮烈に描いた、一気読み必至の青春恋愛小説 – 西日本新聞

思春期特有の心の動きを繊細かつ鮮烈に描いた、一気読み必至の青春恋愛小説 – 西日本新聞

20 second read
0
39

 運命の恋。その言葉はある種甘美な響きを放つ。大人と子どもの中間地点にいる高校生ならばなおのことだ。十代の頃の考え方や行動は、理屈だけで一刀両断したり、正否だけで判断したりできないものである。思春期にこんな恋をしてみたかった。いや、実際にしていたのかもしれない。本作は、そんな懐かしさを覚える青春恋愛小説だ。

 主人公は高校二年生の白砂瞬。眼鏡店を経営する父と、読者モデルがきっかけで美魔女としてメディアで活躍する母、そして中学生の妹がいる。ある日、店番を任された瞬の前に、初めての眼鏡を作りに一村那知が現れる。最初は客だった那知がパートとして働くことになったのがすべての始まり。昭和の漫画が好きという共通の趣味と、那知の絵の上手さに、瞬は那知に親しみと憧れを寄せるようになる。

 高校生の男子と38歳の女性。しかも同級生の母親で、その同級生は妹と付き合っている。設定だけ見れば、愛欲・背徳・秘密とドロドロした話になりそうだが、そうはならない。おそらくその要因は2つある。ひとつは瞬の内面や心情の描写の巧さ。主人公が語る一人称形式でありながら、それらは決して直接的に描かれない。家族や友人、進路といった日々のエピソードを通して、思春期特有のもどかしさ、純粋さ、鬱屈さを繊細に瑞々しく描いていく。もうひとつは、読者の共感を置いてきぼりにしない構成だ。中盤でふたりをつなぐある夢が登場し、物語は大きく舵を切る。恋い慕う相手が、同じ志と情熱を持つ仲間になるのだ。終盤はたたきつけるように激しく読者の心を揺さぶる。後戻りできない激情、周囲を巻き込んださまざまな問題と葛藤。ままならない行く末を迎える結末まで、一気に読み終えて残るのは切なさ以上の爽快感だ。

 タイトルの元になった「ランドルト環(かん)」は、視力検査で用いる、アルファベットのCのようなマークのことを言う。上下左右、いずれか一方が必ず開いているランドルト環。わずかに開いた箇所を細かく判別するのか、切れ目に気づきながら、ざっくり「環」として曖昧な世界で暮らしていくのか。本作は切れ目に意味を見出すことに重きを置いている。タイトルに込められた想いが胸にじんわりと染みわたる、実に奥深い作品である。

出版社:双葉社
書名:ランドルトの環
著者名:八幡 橙
定価(税込):1,512円
税別価格:1,400円
リンク先:https://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-24158-7.html?c=30199&o=&

 西日本新聞 読書案内編集部


<!–

→電子版1周年記念!1万円分賞品券やQUOカードが当たる!!

–>

Let’s block ads! (Why?)


Source link

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Check Also

メーガン妃 フォロワー数負け「みじめ」に思う “キャサリン妃超え”狙いSNS専門家を雇用(Hint-Pot) – Yahoo!ニュース

フォロワー数の差はなかなか埋まらず メーガン妃腹立ち? 英紙が報道  メーガン妃は、ヘンリー王子との公式インス … …