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2040年への自治体戦略

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「人口増モデル」は捨てよ

2018年5月6日 午前7時30分

 【論説】やっと、国も現実と向き合う気になったのだろうか。

 65歳以上人口が大幅に増える2040年ごろを見すえ、地方自治体が直面する課題と対応策を検討してきた総務省の「自治体戦略2040構想研究会」が中間報告を発表した。

 目を引くのは、次の記述である。「人口増加モデルの総決算」を行い「人口減少時代に合った新しい社会経済モデル」を検討することが必要―。

 これは、もはや従来型の対応では解決できないほどの危機だ、との認識の表明だろう。この厳しい状況認識を政府全体で共有し、各自治体とともに議論を深めることが不可欠だろう。

 ■二重の困難■

 2040年の総人口は、ピークだった08年の約1億2800万人から約1800万人減って約1億1000万人になると見込まれている。これは1970年代前半の水準に当たるが、当時と決定的に違うのは人口構成比である。

 なかでも、70年初期では全体の1割にも満たなかった65歳以上人口が、40年には35%を占める。当然、その分だけ19歳以下の人口や現役世代は減る。社会の活力は70年初期に比べて低下した状態になる。

 改めて確認すれば、いまわれわれが直面している人口減少はただ単に出生数が減っていくだけの現象ではない。高齢化も同時に進むという点で、二重の困難に直面しているといえる。

 そこで各自治体はどんな課題を抱えるのか。中間報告はこう描いている。

 ■人も金も細る行政■

 団塊ジュニア世代(71〜74年生まれ)が65歳以上の高齢者となり、三大都市圏を中心に急激に高齢化。特に東京圏は膨大な医療・介護サービスが必要となり、地方から若者を中心に人材の流入が増える恐れがある。

 支え手を失った地方は、生産拠点の海外移転などで製造業が衰退。労働集約型で生産性の低いサービス業が増える。中山間地は集落機能が維持できず、耕地や山林の管理も困難になる。

 多くの都市で空き地、空き家が点在する「スポンジ化」が進み、加速度的に都市が衰える。インフラや公共施設の大規模な更新が必要になるほか、鉄道やバスは主な利用者である高校生らの減少などで経営環境はさらに悪化―。

 福井県ですでに顕在化している現象もあり、特に驚くほどの予測ではない。だが、課題解決は容易ではない。自治体の財政はいま以上に細り、職員数も減る可能性が強いからだ。

 ■本来の「自治」へ■

 このとき求められるのが「人口減少時代に合った新しい社会経済モデル」である。

 これまでは道路一つをとっても、人口増加や経済成長に伴って増える財源などを前提に、新規整備を進めることができた。こうした考え方や仕組みがもはや通じないのは自明である。

 中間報告は「人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会」を想定し、必要な行政サービスを提供するための対応策を示している。

 道路や堤防などであれば、今後は維持管理が中心になるので、複数の自治体や県と連携し効率化を図るという。そこには自治体が土木行政や農林漁業、観光の振興から教育、福祉まで全ての責任をフルセットで果たすという従来の考え方はない。

 「新しい社会経済モデル」を想定すれば、住民へのサービスを行政だけが担う必然性はない。むしろ市民自身や企業が積極的に担い、当事者意識を自ら育てる地域こそが持続可能性への道を開くのではないか。

 こうした市民協働、文字通りの自治に向け、市町村は首長を中心に創意工夫をする必要がある。一方の国は、自治体の自由度を高めるために一層の権限移譲、規制緩和などを進めてもらいたい。

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