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1週間でフォロワー2万超 「ナウル共和国」のツイートが人気なワケ – 毎日新聞 – 毎日新聞

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ナウルで撮影した、ある日の夕焼け=ナウル共和国政府観光局日本事務所提供



 秋風が身に染みる季節。「冬になればまたコロナの感染が広がるのかなあ」と思うと気が気ではない。どんよりとした気分でツイッターをのぞいていたら、あるアカウントが目に留まった。その名は「ナウル共和国政府観光局」(@nauru_japan)。10月1日に日本語の公式アカウントを作って投稿を開始したところ、わずか1週間でフォロワーが2万人超になったという。ナウルは南太平洋に浮かぶ小さな島国。多くは「そんな国あったっけ?」という反応ではないだろうか。「人気急上昇」のワケを探った。【生野由佳/統合デジタル取材センター】

大統領の肩書は20以上?

 このナウルのツイート、とかく引き込まれてしまう。

 <ナウル共和国の面積はだいたい(東京都)港区、北区と同じです>

 <ナウル共和国より琵琶湖のほうが大きいです>

 <人口は千葉県長生村とほぼ同じの約1.3万人>

 さらには、こんな投稿も。

 <ナウルでは大統領が内閣議長、公務員、外務・貿易、ナウル警察、ナウル航空公社、ナウル郵便サービス……スポーツ開発公社大臣を兼務>

 大統領の肩書はなんと約20もあるという。なんだか独裁国家みたいな感じがしないでもないが、フォロワーからは驚きと心配のコメントが続いた。

 <大統領すごい……>

 <過労死しそうな勢いですね……>

ナウルで晴れた日、海辺で撮影した一枚=ナウル共和国政府観光局日本事務所提供

 <いつ休めるんだろう?>

 <人手が足りないのでしょうか?>

フォロワーが急増

 記者は公式ツイッターを通じて、ナウル政府観光局の日本事務所と連絡を取ってみた。すると投稿の主は日本事務所の副所長だった。副所長は32歳の男性で、途上国支援に関わってきた経験があるという。ここで名前や国籍などを紹介したいのだが、副所長いわく「想像の幅を狭めたくないから」と、ナイショにしてほしいという。

 副所長は6日の投稿で、こう呼びかけた。

 <来月の報告書で大統領を驚かせたいので日本の皆様にさらなるフォロー協力をいただけるとありがたいです。本国政府アカウントが4696フォロワーで、それを超えればわかりやすく驚くと思います>

 すると、あっという間にフォロワー数は本国の数を超えた。

 <なんか応援したくなります。大統領様によろしく>

 <驚いてくれるといいね>

といった好意的な反応が次々に寄せられた。

 そして7日には、フォロワーがナウルの人口1万3000人を超えた。すると、副所長は<快挙です>と投稿し、さらにこんな宣言をした。

 <日本でナウルビザ(査証)を発給できるか、日本国民はビザ免除になるように本国に掛け合ってみます>

 そもそも日本語アカウントを開設した目的は、日本人観光客の誘致だ。

 ナウルは1989年、財政上の理由で在日領事館を閉鎖した。以降日本に代表拠点を置いてこなかったが、1日、一般財団法人「国際交流機構」(JIRO)と観光客誘致のための連携協定を結び、日本事務所を設立。同時にツイッターも開設した。

 確かにツイッターアカウントが人気になり、「いつかナウルに行きたい」と胸膨らませるフォロワーが増えた。一見すると「狙い」は成功しつつあるようだが……。

バブルの時代があったが今は

 そもそもナウルとは、どんなところなのだろうか。

 

 世界地図を広げてみると、日本から約5000キロ離れ、赤道直下にある小さな島。ハワイとオーストラリアの間ぐらいにある。

 そこで、一般社団法人「太平洋協会」(東京都港区)の小川和美・太平洋諸島研究所長(60)にいろいろと聞いてみた。太平洋に浮かぶ数々の島の研究の一環で、これまでに10回はナウルを訪れたという。

 80年代は太平洋地域で最も生活水準が高く「バブルの時代」だった。その理由はリン鉱石の発掘・輸出。リン鉱石は鳥のフンなどが何万年も積もって固まったもので、主に肥料に使われる。発掘の仕事の多くは外国人労働者が受け持ち、国民は働かなくても収入が得られるという裕福な状態だったという。公共料金や税金もほぼ払わなくて済んだ。

 小川さんは当時を振り返る。「タクシーを相乗りするように、近所の人たちで旅客機をチャーターし、オーストラリアとか外国に服を買いに行ってましたね。また、新車を購入して酔っ払いながら運転して木にぶつけたら『ワハハハハ』と笑って、すぐにまた新車を買う。そんな信じられないところでした」

 しかし90年代に入ると、鉱石資源が枯渇するようになり、一転して深刻な経済危機に陥ってしまった。現在もなお、経済再建策を模索中だ。その一環として、ナウル政府は昨年、「ナウル観光公社」を設立し、観光誘致に向けた施策を展開中という。小川さんは「これまでは観光客誘致には全く無関心だったので、今回のツイッターの盛り上がりについて、とても驚いています。だって日本からの旅行者は年間100人もいないでしょうから」と話す。

 これまで日本からは、戦争遺跡の見学を目的にした渡航が多かったという。太平洋戦争中の42年、旧日本軍がナウル島を占領した。島内には旧日本軍が残した大砲やトーチカ(防御陣地)などが点在しており、当時の状況を物語っている。

どうすればナウルに行ける?

 それでは、日本人がナウルに旅行するためにはどんな手続きが必要なのだろうか。前出の副所長に尋ねると、ふうっと大きなため息をつき「実はかなり大変なんですよ」と顔をしかめた。

 「入国にはビザが必要なのですが、日本にはナウル大使館がありません。この段階であきらめる人たちが一定数いると思うんです」という。

 とはいえ、公式サイトからビザ発給の手続きは可能。すべてメールでのやりとりになり、実際にビザが手に入るのはナウル空港への到着時だ。

 副所長は「日本のような行政手続きだと思っていませんか? スムーズな返事は期待できません。1度や2度の催促は必要だと思っていてください。早ければ早いのですが、トラブルも多いため1カ月は余裕を持って手続きした方がよいでしょうね。これから改善をしていきたいと思ってはいますが、ナウル政府に改善を働きかけるよりも『日本人はビザ不要』を交渉した方が早いと考えています」。

ナウルで唯一の内陸地区「ブアダ地区」の町並み。緑が豊かなエリア=ナウル共和国政府観光局日本事務所提供

 なるほど、副所長が投稿した「ビザ不要宣言」はこのような背景があったようだ。

 そもそも、日本からはどのような航路になるのだろうか。

 日本とナウルの間の直通便はない。まず成田空港からオーストラリア・ブリスベン空港まで約9時間かかり、そこで乗り換えてナウル空港までさらに約5時間は必要だ。しかもブリスベン―ナウルの便は毎日あるわけではないので、乗り換えに最低1泊は要するという。

 では、観光客はどのような過ごし方が楽しめるのだろうか。

 島の周囲は海だから、やはり海水浴だろうか。だが副所長は「砂浜のような浅瀬は少なく、深いところが多い。しかも岩ばっかりでダイビングには向かない。レジャー用の施設などはありません。ハワイやグアムをイメージしてもらっては困ります」。

 PRどころか不安要素を口にする副所長。だが、「ちょっと不自由で何もない、というのが実は魅力なのです。美しい自然に囲まれ、住民はあくせく働いていない。時間がゆっくりゆっくり流れています。スローライフを送りたい、そんな人にはぴったりですよ」と、教えてくれた。

しかし、コロナ禍がナウルにも

 都会の騒がしさから逃れ、仕事を忘れたいという人たちは一定数いるだろう。忙しい日本人にはニーズが高いように思う。私も冬休みは「ナウル」で夕日を眺めて時間を忘れてぼおっとしていたい。手続きに時間がかかるとはいえ、今からビザを申請すれば間に合うだろう。そう思い、尋ねてみると、意外な答えが返ってきた。

 「ナウルは実は今、コロナ禍のために外国人の入国を制限しているのです。海外からの旅行は延期するよう求めています」

 少し驚いたが、入国できないならなぜツイッターでの観光誘致を始めたのだろうか。

 「そもそも日本ではナウルの知名度は低いため、コロナ禍が終わったら来てもらえるよう、日本の皆さんには今から関心を持ってもらいたいと考えたんです。ツイッターの反響が大きかったので、まずは大成功です。これからもどんどんツイートしていきますよ。“ナウル通”になって、いつの日かお越しくださいね」

 副所長がツイッターに載せたナウルの写真はどれも美しい。ずっと先を見通せる路地、優しい夕日が差し込んでいる港、魚を使った家庭料理……。

 コロナ禍の今は、想像の「旅」だけで我慢することにしようか。

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